歯列矯正を始めて数ヶ月、最初のうちは歯が動く痛みや違和感で「おお、動いてる!」と実感できたのに、最近なんだかその感覚が薄れてきて、「本当に歯、動いてるのかな…?」と不安に感じることはありませんか。実はこれ、矯正治療を受けている多くの方が一度は経験する「あるある」な悩みなんです。歯の移動は、1ヶ月に約0.5mm~1mm程度と非常にゆっくりです。そのため、毎日鏡を見ていても、その微妙な変化に気づきにくいのは当然のこと。特に、治療がある程度進んでくると、大きなガタガタが解消されたり、目に見える隙間が閉じたりといったダイナミックな変化が少なくなり、停滞しているように感じやすくなります。また、人間の感覚は慣れるもので、治療開始当初に感じていた痛みや圧迫感も、次第に軽減していくため、「刺激が少ない=動いていない」と錯覚してしまうこともあります。しかし、痛みや違和感がないからといって、歯が動いていないわけではありません。むしろ、適切な力でスムーズに歯が移動している証拠とも言えます。不安を感じた時は、まず定期的な調整日に、担当の歯科医師や歯科衛生士に「最近、歯が動いている実感が少ないのですが、順調でしょうか?」と正直に尋ねてみましょう。専門家は、レントゲン写真や歯型模型、口腔内写真などを比較し、客観的なデータに基づいて歯の動きを評価しています。治療開始時や数ヶ月前の写真と現在の状態を比較して見せてもらうと、自分では気づかなかった変化を実感できることも多いです。また、治療計画を再確認し、今どの段階にいて、次にどのような動きを目指しているのかを理解することも、不安解消に繋がります。焦らず、歯科医師を信頼し、日々のケアを怠らずに続けることが、美しい歯並びへの着実な一歩となるでしょう。