「今日が最後の調整になります」先生のその言葉を聞いた瞬間、長かった歯列矯正生活のゴールが本当に見えた気がして、胸がいっぱいになったのを今でも鮮明に覚えています。約2年半、毎月の調整日のたびに「いつ終わるんだろう」とカレンダーを眺めていた日々。痛みに耐え、食事に気を使い、歯磨きに時間をかけてきた努力が、ついに報われる時が来たのです。最後の調整日は、いつもより少し緊張していました。先生はまず、私の口の中をじっくりと観察し、時折「うん、いいね」と頷きながら、歯の並びや噛み合わせを丁寧にチェックしてくれました。そして、「あとほんの少しだけ、ここの角度を調整しましょうか」と言い、ワイヤーに数カ所、小さな曲げを加えていきました。その手つきはまるで職人のようで、ミリ単位の調整に全神経を集中させているのが伝わってきました。私自身も、鏡を見ながら「先生、ここの隙間はもう少し閉じますか?」とか「笑った時の見え方はどうでしょうか?」など、気になっていたことをいくつか質問しました。先生は一つ一つ丁寧に答えてくれ、私の希望もできる限り反映しようとしてくれました。調整自体は30分ほどで終わりましたが、その時間はこれまでの治療期間の集大成のように感じられました。最後に先生から「本当によく頑張りましたね。素晴らしい歯並びになりましたよ」と声をかけられた時は、思わず涙がこぼれそうになりました。そして、次回はいよいよ装置を外す日です。装置が外れた後の自分の顔を想像すると、楽しみで仕方ありません。もちろん、その後はリテーナー生活が待っていますが、まずはこの達成感を噛み締めたいと思います。この最後の調整は、私にとって歯列矯正のゴールテープであると同時に、新しい笑顔へのスタートラインになった特別な一日でした。