神経のない歯と向き合った私の矯正ストーリー

神経のない歯と向き合った私の矯正ストーリー

Dr.asai 2025年6月9日

長年の夢だった歯列矯正。でも、私には一つ大きな不安がありました。それは、中学生の頃に虫歯で神経を抜いた左下の奥歯のこと。「神経のない歯って、矯正できるのかな…?もし無理だったらどうしよう」。そんな心配を抱えながら、勇気を出して矯正歯科のカウンセリングを受けました。先生は私のレントゲンを見ながら、「うん、この歯ですね。確かに神経はありませんが、根っこの治療はしっかりされているようですし、周囲の骨の状態も悪くない。基本的には問題なく動かせますよ」と穏やかに説明してくれました。ただし、神経のある歯に比べて脆くなっている可能性や、まれに歯の色が変わったり、根の先に問題が起きたりするリスクもあることも、丁寧に教えてくれました。その上で、「治療中は特にこの歯の状態を注意深く見ていきますから、安心してください」という言葉に、私はようやく決心がつきました。矯正装置が装着され、治療がスタート。最初のうちは、他の歯と同じように、調整後の数日間は鈍い痛みがありましたが、特に神経のない歯だけが痛むということはありませんでした。ただ、やはり「この歯、大丈夫かな」という心配は常に頭の片隅にありました。硬いものを噛む時は、無意識にその歯を避けていたような気がします。先生も、毎回の調整時には必ずその歯の揺れ具合や歯茎の状態をチェックしてくれ、時にはレントゲンを撮って確認することもありました。「順調に動いていますね。心配ないですよ」と言われるたびに、ホッと胸をなでおろしたものです。治療期間は約2年。その間、幸いにも神経のない歯に大きなトラブルは起きませんでした。装置が外れた日、鏡に映る整った歯並びを見て、本当に嬉しくて涙が出そうになりました。特に心配だった左下の奥歯も、他の歯と変わらず綺麗に並んでいて、まるで長年の悩みから解放されたような気分でした。もちろん、これは私個人の体験であり、全ての人に当てはまるとは限りません。でも、もし神経のない歯があることで矯正をためらっている方がいたら、まずは専門の先生に相談してみてほしいです。適切な診断と管理のもとであれば、きっと道は開けるはずです。私の経験が、少しでも誰かの背中を押すことができたら嬉しいです。