歯列矯正で変わる入れ歯の適合性と快適な毎日

歯列矯正で変わる入れ歯の適合性と快適な毎日

Dr.asai 2025年6月7日

Eさん(60代後半)は、長年使用していた部分入れ歯の不具合に悩まされていました。食事のたびに入れ歯が動いて痛む、硬いものが噛みにくい、そして何より人前で話す際に発音が不明瞭になることが大きなストレスでした。何度か入れ歯を作り直したり調整したりしましたが、根本的な解決には至らず、半ば諦めかけていました。そんな時、かかりつけの歯科医師から提案されたのが、残っている数本の歯に対する部分的な歯列矯正でした。Eさんの場合、入れ歯を支えるべき歯が数本傾いており、それが入れ歯の不安定さを招いている主な原因だったのです。最初は「この年齢で矯正なんて」と戸惑ったEさんでしたが、歯科医師から、歯の位置を整えることで入れ歯の適合性が格段に向上し、現在の悩みが大幅に改善される可能性があると丁寧な説明を受け、治療を決意しました。治療は、主に傾いた歯を起こし、適切な位置に移動させるというもので、期間は約8ヶ月でした。矯正期間中は仮の入れ歯を使用し、定期的に歯の動きに合わせて調整を行いました。そして矯正治療が完了し、新しい歯並びに合わせて精密に作製された入れ歯を装着した瞬間、Eさんは驚きました。「今までの入れ歯とは全く違う。しっかりと固定されていて、ぐらつかないし、痛みもない」と。新しい入れ歯は、以前のものと比べて格段に安定しており、食事の際にも安心してしっかりと噛むことができるようになりました。気にしていた発音も明瞭になり、友人との会話も以前よりずっと楽しめるようになったと言います。Eさんは、「もっと早く相談すればよかった。歯列矯正と聞くと大掛かりなイメージがあったけれど、自分の悩みに合わせて部分的に行うことで、こんなにも快適な生活が手に入るとは思わなかった。これからは食事も会話も心から楽しめます」と笑顔で語ってくれました。Eさんの事例は、歯列矯正が単に歯並びを美しくするだけでなく、入れ歯の機能性や快適性を向上させ、生活の質そのものを高める可能性を秘めていることを示しています。