歯列矯正を終えて数年が経ち、整った歯並びが当たり前になった今、ふと「もしあの時、矯正をしていなかったら、今の自分はどうなっていただろうか」と考えることがあります。おそらく、以前と変わらず、自分の歯並びにコンプレックスを抱き続け、人前で思い切り笑うことをためらい、写真に写るのもどこか憂鬱な気持ちだったかもしれません。食事のたびに食べ物が歯に挟まる不快感や、歯磨きがしにくいために虫歯や歯周病のリスクに怯える日々を送っていた可能性もあります。そう考えると、あの時、勇気を出して歯列矯正という大きな決断をして本当に良かったと、心の底から思います。矯正期間中は、確かに辛いこともたくさんありました。装置が当たってできる口内炎の痛み、食事の制限、見た目の問題、そして決して安くはない費用。時には「どうしてこんな大変なことを始めてしまったんだろう」と弱気になった瞬間も一度や二度ではありませんでした。それでも、鏡を見るたびに少しずつ理想の歯並びに近づいていく過程は、何物にも代えがたい喜びであり、大きなモチベーションでした。そして、全ての治療を終え、装置が外れた瞬間の解放感と達成感は、今でも忘れられません。歯列矯正によって私が得たものは、単に見た目の美しさだけではありません。まず、何よりも「笑顔への自信」です。以前は手で口元を隠すのが癖でしたが、今では誰に対しても自然な笑顔で接することができるようになり、それによって人間関係もより円滑になったと感じています。次に、「健康的な噛み合わせ」です。しっかりと物を噛み砕けるようになったことで、消化が助けられ、食事もより美味しく楽しめるようになりました。また、歯磨きが格段にしやすくなったことで、口腔ケアへの意識も高まり、将来的な歯の健康維持にも繋がっていると信じています。そして、大きなコンプレックスを克服できたという経験は、私に「やればできる」という自己肯定感を与えてくれました。これは、歯列矯正以外の様々なことにも前向きに取り組む力になっているように思います。