歯列矯正治療の基本的な進め方

歯列矯正治療の基本的な進め方

Dr.asai 2025年6月10日

歯列矯正治療は、美しい歯並びと健康的な噛み合わせを目指す医療行為であり、その治療はいくつかの段階を経て計画的に進められます。まず初めに、患者さんが抱える歯並びの悩みや治療に対する希望を歯科医師に伝えるカウンセリングが行われます。この段階で、治療の概要や期間、費用などについて大まかな説明がなされ、患者さんの疑問や不安を解消することが目指されます。次に、より詳細な治療計画を立案するために精密検査が実施されます。レントゲン撮影、歯の型取り、口腔内や顔の写真撮影などを行い、顎の骨の状態や歯の位置、噛み合わせなどを正確に把握します。これらの検査結果を基に、歯科医師は個々の患者さんに最適な治療方針を決定し、具体的な治療計画、期間、費用、そして起こりうるリスクなどについて詳細な説明を行います。患者さんがこの治療計画に同意すれば、いよいよ本格的な治療が開始されます。治療の初期段階では、必要に応じて抜歯が行われたり、矯正装置を装着するための準備(クリーニングや虫歯治療など)が行われることがあります。その後、ブラケットやワイヤーといった矯正装置を歯に装着し、歯を少しずつ動かしていく期間に入ります。この期間中は、通常1ヶ月に1回程度の頻度で通院し、ワイヤーの調整や交換、装置のチェックなどを受けます。歯が目標の位置まで移動し、理想的な歯並びと噛み合わせが得られたら、矯正装置を撤去します。しかし、治療はこれで終わりではありません。動かした歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」を防ぐため、リテーナー(保定装置)を装着する保定期間が非常に重要となります。保定期間も定期的な通院が必要で、歯科医師の指示に従ってリテーナーを正しく使用することで、美しい歯並びを長期間維持することができます。これが歯列矯正治療における一般的な順序です。