鈴木さん(仮名・40代女性)は、長年のコンプレックスだった歯並びを治そうと、ある歯科医院で歯列矯正を開始しました。しかし、治療開始から数ヶ月経つと、特定の歯に持続的な強い痛みと、食事の際に不安を感じるほどのグラつきが現れ始めました。担当医に相談しても「矯正治療ではよくあることです。慣れますよ」と取り合ってもらえず、不安は募るばかりでした。「このまま治療を続けて本当に大丈夫なのだろうか。もしかしたら歯が抜けてしまうのではないか…」そんな疑念が頭をよぎり、鈴木さんは意を決して別の矯正専門医にセカンドオピニオンを求めました。新しいクリニックで精密な検査を受けた結果、衝撃の事実が明らかになりました。鈴木さんの場合、一部の歯に過度な矯正力がかかっており、歯根膜(歯と骨の間にある組織)に炎症が生じ、さらにレントゲンでは初期の歯根吸収の兆候も見られたのです。セカンドオピニオン先の医師は、「このまま同じような強い力で治療を続ければ、歯の神経が死んでしまったり、最悪の場合、歯を失う可能性も否定できませんでした」と説明しました。鈴木さんはすぐに前のクリニックでの治療を中止し、セカンドオピニオン先の医師のもとで、改めて治療計画を立て直すことになりました。新しい治療計画では、より弱い力で慎重に歯を動かし、定期的なレントゲン検査で歯根の状態を細かくチェックしながら進められました。痛みやグラつきは徐々に治まり、鈴木さんは安心して治療を続けることができるようになりました。「あの時、勇気を出して別の先生に相談していなかったら、今頃どうなっていたか…」と鈴木さんは振り返ります。この事例は、歯科医院選びの重要性と、治療中に異常を感じた際にセカンドオピニオンを求めることの大切さを示唆しています。矯正治療は専門性の高い分野であり、経験豊富な信頼できる歯科医師を選ぶことが、健康な歯を守りながら理想の歯並びを手に入れるための鍵となるのです。