まさか自分が「歯列矯正をやめたい」なんて思う日が来るなんて、治療を始める前は想像もしていませんでした。キラキラした症例写真を見て、数年後には私もこんな風に自信を持って笑えるんだって、夢見ていたんです。でも、現実は甘くなかった。最初のうちは「綺麗な歯並びのため!」って我慢できたけど、毎月の調整後の激痛、口の中に広がる口内炎、思うように食べられないストレス、そして何より、いつ終わるのか分からないこの状況に、だんだん心が蝕まれていくのを感じました。仕事中も、ふとした瞬間に装置の違和感で集中力が途切れたり、滑舌が悪くなって聞き返されたりすることが増えて、それがまた新たなストレスに。夜、一人になると「本当にこのまま続けて意味があるのかな」「もういっそ、やめちゃった方が楽なんじゃないか」って、ネガティブな考えばかりが頭をぐるぐる。SNSで「矯正 辛い」とか検索しては、同じように苦しんでいる人の投稿を見て少し安心したり、逆に「みんな頑張ってるのに私だけ…」って落ち込んだり。そんな日々の中で、ふと気づいたんです。私は「やめたい」んじゃなくて、「この辛い状況から逃げ出したい」だけなのかもしれないって。そこで、小さなことから変えてみることにしました。例えば、調整後は思い切って有給を取ってゆっくり休むとか、食べやすい美味しいものを探すとか、矯正中でも楽しめることを見つける努力を始めたんです。矯正器具に付けるカラーゴムを毎回変えてみたり、歯が動いていく様子を写真に撮って記録したり。そんな小さな工夫を重ねるうちに、少しずつだけど、前向きな気持ちを取り戻せるようになってきました。もちろん、今でも時々「あーもう!」ってなることはあります。でも、そんな時は矯正前の自分の写真を見て、「ここまで頑張ったんだから」って自分を励ましています。ゴールはまだ先だけど、いつかこの戦いが終わる日を信じて、もう少しだけ頑張ってみようと思います。