歯列矯正治療には様々な方法がありますが、代表的なものにワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置(インビザラインなど)があります。これらの方法は、歯を動かすメカニズムだけでなく、治療の進め方や順序にもいくつかの違いがあります。まず、治療開始前のカウンセリングや精密検査、治療計画の立案といった基本的な流れは、どちらの方法でも大きくは変わりません。しかし、装置の製作と装着の段階から違いが現れます。ワイヤー矯正の場合、歯の表面にブラケットと呼ばれる小さな装置を接着し、そこにワイヤーを通して力を加えることで歯を動かします。ブラケットやワイヤーの種類は様々で、金属製のものからセラミック製やプラスチック製の目立ちにくいものまで選択できます。装置の装着は歯科医師が行い、その後は通常1ヶ月に1回程度の頻度で通院し、ワイヤーの調整や交換を行います。一方、マウスピース型矯正装置の場合、精密検査で得られた歯型や口腔内スキャンのデータを基に、治療完了までの歯の動きをシミュレーションし、複数の透明なマウスピースを作製します。患者さんは、歯科医師の指示に従って、約1~2週間ごとに新しいマウスピースに自分で交換しながら治療を進めます。通院頻度はワイヤー矯正に比べて少ない傾向にあり、通常1.5ヶ月~3ヶ月に1回程度、歯の動きや装置の適合状態をチェックします。食事や歯磨きの際には自分で取り外せるという利便性がありますが、自己管理が非常に重要となり、指定された装着時間を守らないと計画通りに歯が動かない可能性があります。また、ワイヤー矯正では抜歯を伴う複雑な症例にも対応しやすいのに対し、マウスピース型矯正装置は適応症例が限られる場合がありました。しかし、技術の進歩により対応範囲は広がっています。どちらの方法にもメリットとデメリットがあるため、自分のライフスタイルや希望、歯並びの状態などを考慮し、歯科医師とよく相談して最適な治療法を選ぶことが大切です。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正?その手順の違い