歯列矯正の辛さは、歯が動く物理的な痛みだけではありません。むしろ、治療が長期にわたるからこそ、じわじわと心を蝕んでいく「心のNG習慣」こそが、治療を挫折させる大きな原因となり得ます。美しい歯並びというゴールにたどり着くために、絶対にしてはいけない心の持ち方があります。第一に、「他人と比べることはできない」というルールです。SNSを開けば、自分より早く治療が進んでいるように見える人や、全く痛みがないと語る人の投稿が目に入るかもしれません。それを見て、「なぜ自分だけ…」と落ち込むのは、最も無意味で、心を疲弊させる行為です。歯の動き方や痛みの感じ方は、骨格や体質によって千差万別。あなたの治療は、あなたのペースでしか進みません。比べるべきは、過去の他人ではなく、昨日より少しだけ理想に近づいた「過去の自分」です。第二に、「完璧主義になることはできない」と心得ましょう。矯正期間中は、食事や歯磨きなど、多くの制約が伴います。しかし、四六時中、完璧にルールを守り続けるのは不可能です。たまには、歯磨きを少し手抜きしてしまう日があったって、好きなものをこっそり食べてしまう日があったっていいのです。そんな自分を「ダメだ」と責め続けると、治療そのものが大きなストレスになってしまいます。「今日は頑張ったから、明日は少しだけ楽をしよう」。そんな風に、自分を許し、緩急をつけることが、長く走り続けるための秘訣です。第三に、「一人で悩みを抱え込むことはできない」と知ってください。痛み、不便さ、見た目のコンプレックス、そして先の見えない不安。これらのネガティブな感情を、一人で抱え込む必要はありません。担当の歯科医師や衛生士に辛さを打ち明ける、家族や友人に話を聞いてもらう、SNSで同じように頑張っている仲間と励まし合う。自分の弱さを誰かに見せることは、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、誰かと繋がることで、孤独感は和らぎ、また明日から頑張ろうという力が湧いてくるはずです。歯列矯正は、自分と向き合う長い旅です。これらの心のNG習慣を避け、自分自身を大切に労わりながら、ゴールを目指してください。