娘が「歯並びを治したい」と言い出したのは、中学1年生の秋でした。もともと少し前歯が出ていることは気になっていましたが、本人が言い出すまでは…と思っていた矢先のことでした。正直、最初は戸惑いました。費用も決して安くはないし、長期間にわたる治療で娘が大変な思いをするのではないか、勉強や部活に影響はないだろうか、と様々な不安が頭をよぎりました。しかし、娘の真剣な眼差しと、コンプレックスを解消して自信を持ちたいという強い気持ちを受け止め、まずは矯正歯科のカウンセリングに一緒に行くことにしました。先生からの丁寧な説明を受け、治療のメリットだけでなく、痛みや不便さといったデメリットも理解した上で、娘は矯正治療を受けることを決意。親としては、娘の決断を全力で応援しようと心に誓いました。治療が始まると、やはり最初の数ヶ月は親子で試行錯誤の日々でした。装置の違和感や痛みで食事が思うように進まない娘を見ては、「やっぱりやめさせてあげた方が良かったのでは…」と心が揺らぐこともありました。毎食後の丁寧な歯磨きも、思春期の娘にとっては面倒なようで、つい口うるさく注意してしまうことも。しかし、そんな時こそ、治療を始めた時の娘の気持ちを思い出し、励まし、できる限りのサポートを心がけました。食べやすいように食事を工夫したり、通院日には必ず付き添って先生の話を一緒に聞いたり。治療が進み、少しずつ歯並びが整っていくのを見るのは、娘だけでなく私にとっても大きな喜びでした。そして約2年半後、装置が外れた日の娘の笑顔は、今でも忘れられません。自信に満ち溢れ、本当に嬉しそうでした。矯正治療は、親子にとって決して楽な道のりではありませんでしたが、共に悩み、励まし合い、乗り越えた経験は、私たち家族の絆をより一層深めてくれたように感じます。そして何より、娘が手に入れた美しい歯並びと自信は、親として最高の喜びです。