Aさん(20代女性)が歯列矯正を決意したのは、長年コンプレックスだった前歯の突出感と、上下の歯がうまく噛み合わないことによる食事のしづらさがきっかけでした。精密検査の結果、Aさんの症例では、抜歯とワイヤー矯正に加え、治療の中盤から終盤にかけて顎間ゴム(輪ゴム)を積極的に使用し、上下顎の前後的な位置関係を改善する必要があると診断されました。治療開始から約1年後、歯科医師から顎間ゴムの使用が指示されたAさん。最初は、小さなゴムを毎日自分で特定のフックにかけ続けるという作業に戸惑いを感じました。実際、最初の数週間は装着に時間がかかったり、ゴムの力による違和感や軽い痛みを感じたりすることもありました。食事のたびに着脱する手間や、会話中にゴムが目立つのではないかという心配も尽きませんでした。しかし、Aさんは担当の歯科医師から「顎間ゴムは、治療計画の中で非常に重要な役割を果たします。Aさんの協力がなければ、理想的な噛み合わせを得ることは難しいのです」と、その重要性を繰り返し説明され、何としても治療を成功させたいという一心で、真面目に取り組み続けました。歯科医師の指示通り、毎日欠かさず20時間以上、指定された位置に輪ゴムを装着し、定期的に新しいものに交換することを徹底しました。歯科医院で教わった装着のコツを思い出し、鏡を見ながら丁寧にかけることを習慣づけたのです。その努力が実を結び始めたのは、輪ゴムの使用を開始して2ヶ月ほど経った頃でした。鏡で自分の横顔を見たとき、以前よりも前歯の突出感が和らぎ、口元がスッキリしてきたことを実感したのです。また、食事の際にも、以前はうまく噛み切れなかったものが、少しずつ噛みやすくなっているのを感じました。その小さな変化が、Aさんにとって大きなモチベーションとなりました。その後もAさんは、歯科医師の指示を忠実に守り、輪ゴムの使用を続けました。治療の最終段階では、さらに細かい噛み合わせの調整のために、異なるかけ方や種類の輪ゴムも使用しましたが、もはや輪ゴムの扱いは手慣れたものでした。そして、約2年半の矯正治療期間を終え、装置を外した日。Aさんの口元には、以前のコンプレックスが嘘のように、美しく整った歯並びと、機能的にも安定した理想的な噛み合わせが実現していました。
輪ゴムで劇的変化!矯正成功物語