歯列矯正中は、装置への影響を考えて特定の食べ物を避けなければならず、食事が偏りがちになるのではないかと心配される方も少なくありません。しかし、少しの工夫と知識があれば、矯正中でも美味しく、かつ栄養バランスの取れた食事を楽しむことは十分に可能です。まず大切なのは、食材の選び方と調理法です。硬いものや大きな塊のままでは食べにくい食材も、細かく刻んだり、柔らかく煮込んだりすることで、格段に食べやすくなります。例えば、肉類であればひき肉を使った料理や、薄切り肉を柔らかく煮込むシチューやポトフなどがおすすめです。野菜も同様に、生で食べるのが難しい場合は、スムージーにしたり、スープや煮物にして柔らかく調理したりすると良いでしょう。特に、矯正中は口内炎ができやすくなることもあるため、ビタミンB群を多く含む食材(豚肉、レバー、魚介類、乳製品など)を意識して摂ることも大切です。また、カルシウムは歯や骨の健康に不可欠なので、牛乳やヨーグルト、小魚などを積極的に取り入れましょう。装置に挟まりやすい葉物野菜は、細かく刻んでおひたしや和え物にする、あるいはミキサーにかけてポタージュにするなどの工夫で、栄養を逃さず摂取できます。主食に関しても、お米はお粥やリゾットにすると食べやすく、パンも柔らかい食パンやロールパンを選び、ちぎって食べるようにすると装置への負担を軽減できます。間食には、プリンやゼリー、ヨーグルト、バナナなどがおすすめです。これらは柔らかく、栄養価も高いため、小腹が空いた時の良い味方になります。外食時には、メニュー選びに少し気を使う必要がありますが、煮込み料理や丼もの、豆腐料理など、比較的食べやすいものも多くあります。重要なのは、食べられないものにばかり目を向けるのではなく、食べられるものの中でいかにバリエーションを豊かにし、栄養を確保するかという視点です。矯正治療は長期間にわたることが多いので、無理なく続けられる食生活の工夫を見つけることが、心身ともに健康な矯正ライフを送るための鍵となるでしょう。
矯正中でも美味しく栄養満点な食事の秘訣