歯列矯正中であっても、ランニングや水泳、ジムでのトレーニングといった、ほとんどのスポーツは普段通りに楽しむことができます。しかし、一部の「コンタクトスポーツ」と呼ばれる、選手同士の接触や、顔面にボールなどが当たる可能性のある激しいスポーツに関しては、いくつかの「できないこと(注意すべきこと)」が存在します。これは、口の中の怪我を防ぎ、大切な矯正装置を守るために非常に重要です。特に注意が必要なスポーツは、ラグビー、アメリカンフットボール、ボクシング、空手といった格闘技、そしてバスケットボールやサッカーなどです。これらのスポーツ中に、顔面に強い衝撃を受けると、唇や頬の内側が矯正装置に強く押し付けられ、ひどい裂傷(口の中が切れること)を引き起こす可能性があります。通常の口内炎とは比べ物にならないほどの、深刻な怪我につながる危険性があるのです。また、衝撃によってブラケットが外れたり、ワイヤーが破損したりすることも考えられます。では、これらのスポーツは完全に諦めなければならないのでしょうか。答えは「ノー」です。このようなリスクから口の中を守るために、「スポーツマウスガード(マウスピース)」の使用が強く推奨されます。スポーツマウスガードは、厚みのある柔軟な素材でできており、歯列全体を覆うことで、外部からの衝撃を和らげ、唇や歯、そして矯正装置を保護するクッションの役割を果たします。市販のものもありますが、矯正治療中は歯が動いて歯並びが変化していくため、歯科医院でオーダーメイドのものを作製してもらうのが最も安全で効果的です。矯正治療の段階に合わせて、定期的に作り直す必要も出てくるでしょう。矯正治療は、あなたの人生を豊かにするためのもの。スポーツという楽しみを諦める必要はありません。しかし、リスクを正しく理解し、マウスガードという適切な防具を装着するという「できないこと(やってはいけない無防備なプレー)」を守ることが、安全にスポーツを続けるための絶対条件となるのです。
矯正中のスポーツは大丈夫?運動時にできないこと