歯列矯正治療は長期にわたるため、途中で「本当に歯が動いているのかな?」と不安になることは誰にでも起こり得ます。しかし、その「動いていない感じ」は、多くの場合、ご自身の感覚的なものであったり、変化が微細で気づきにくいだけであったりすることが少なくありません。では、どのようにすれば歯列矯正の進捗を客観的に確認できるのでしょうか。最も確実なのは、担当の歯科医師や歯科衛生士に直接尋ねることです。彼らは、治療開始からの様々な記録(口腔内写真、歯型模型、レントゲン写真、治療計画のシミュレーションなど)を元に、歯の移動状況を正確に把握しています。調整日にこれらの記録を見せてもらいながら説明を受けることで、自分では気づかなかった変化を視覚的に理解でき、安心感を得られるでしょう。例えば、治療開始時と現在の口腔内写真を並べて比較すると、歯の傾きや重なり、歯列の幅などがミリ単位で改善しているのが分かる場合があります。また、歯型模型を比較することで、立体的に歯並びがどのように変化しているかを確認することもできます。もし、治療計画に3Dシミュレーションが用いられている場合は、現在の状態がシミュレーション上のどの段階に相当するのかを確認するのも良いでしょう。ご自身でできる簡単なチェック方法としては、デンタルフロスの使用感が挙げられます。以前はきつくてフロスが通りにくかった歯間がスムーズに通るようになったり、逆に以前はスカスカだった歯間にフロスが引っかかるようになったりすることで、歯が移動して歯間の状態が変化したことを感じられるかもしれません。また、噛み合わせの変化を感じることもあるでしょう。以前は当たらなかった歯が当たるようになったり、全体の噛み合わせがしっくりくるようになったりといった感覚です。ただし、これらはあくまで主観的な感覚であり、正確な評価は専門家でなければ難しいです。不安な時は自己判断せず、必ず歯科医師に相談し、客観的な評価と説明を受けるようにしましょう。