私が歯列矯正をやめたくなったあの頃
私が歯列矯正を始めたのは、長年のコンプレックスだった八重歯とガタガタの歯並びを治したいという一心からでした。カウンセリングを受け、綺麗な歯並びになった自分の姿を想像して、期待に胸を膨らませて治療を開始したのです。しかし、実際に装置をつけてみると、想像以上の痛みと不快感に日々悩まされることになりました。特に調整後の数日間は、食事もままならず、喋るのも億劫で、鏡を見るたびに金属の装置が目に入るのが憂鬱でした。食べたいものが自由に食べられないストレス、口内炎の痛み、そして何よりも「いつまでこの生活が続くのだろう」という先の見えない不安が、日に日に「やめたい」という気持ちを大きくしていきました。友人たちが美味しそうにご飯を食べているのを見るのも辛く、次第に口元を隠して話すようになり、笑顔も減ってしまったように感じます。何度もインターネットで「歯列矯正 やめたい」と検索し、同じように悩んでいる人の書き込みを読んでは、共感したり、逆に不安になったりしていました。家族や親しい友人にも相談しましたが、最終的に決めるのは自分自身です。そんな時、ふと矯正前の自分の写真を見返す機会がありました。あの頃、どれだけこの歯並びに悩み、綺麗な歯並びに憧れていたかを思い出し、ここで諦めたら絶対に後悔すると強く感じたのです。そこからは、小さな目標を設定し、それをクリアするごとに自分にご褒美をあげたり、矯正が終わった後の楽しみを具体的にイメージしたりすることで、何とかモチベーションを保ちました。今振り返れば、あの時諦めなくて本当に良かったと思っています。もし同じように悩んでいる方がいたら、一度立ち止まって、なぜ矯正を始めたのか、その原点に立ち返ってみるのも良いかもしれません。