歯列矯正を始めて半年が過ぎた頃、私は猛烈な不安に襲われました。「あれ?なんか最近、全然歯が動いてる気がしないんだけど…」。治療開始直後は、ワイヤーを調整してもらうたびにズキズキとした痛みがあり、それが「歯が動いている証拠!」と妙な達成感を感じていたのですが、いつの間にかその痛みもほとんどなくなり、鏡を見ても劇的な変化が見られなくなっていたのです。「もしかして、私の歯、もう動かないの?」「このまま何年も装置をつけっぱなしだったらどうしよう…」と、ネガティブな思考が頭の中をぐるぐる。次の調整日まで待てず、いてもたってもいられなくなった私は、まずインターネットで「歯列矯正 動かない」と検索しまくりました。すると、同じような不安を感じている人がたくさんいることを知り、少しだけホッとしたのを覚えています。そして、多くの体験談で共通していたのが、「先生に相談するのが一番」というアドバイスでした。そこで、勇気を出してクリニックに電話し、状況を説明したところ、少し早めに診ていただけることになりました。診察当日、私は担当の先生に正直な不安をぶつけました。「最近、全く歯が動いている気がしないんです。痛みもないし、見た目も変わらないし…」。先生は私の話をじっくりと聞いた後、これまでの口腔内写真やレントゲンを一緒に見ながら、丁寧に説明してくれました。「〇〇さんの歯は、計画通りにちゃんと動いていますよ。最初の大きなガタつきが取れると、変化が分かりにくくなるんですよね。痛みがないのは、むしろスムーズに動いている証拠とも言えます」と。そして、治療開始時と現在の写真を並べて見せてくれた時、私はハッとしました。自分では気づかなかったけれど、明らかに歯並びが整い、口元の印象も変わっていたのです。「思い込みって怖いな…」と反省すると同時に、客観的なデータで示してもらったことで、心の底から安心できました。この経験から、不安な時は一人で抱え込まず、専門家である先生を信頼して相談することの大切さを痛感しました。